関係者 各位
平成16年1月25日
(財)日本ハンドボール協会競技本部長 江成 元伸審判部長 斎藤 実
競技規則に関する通達
国際ハンドボール連盟の競技規則・審判委員会(PRC)から、2003年11月21日付で、競技規則及びその解釈に関する変更の通達が出されました。これを受けて、(財)日本ハンドボール協会においても平成16年4月1日より競技規則及びその解釈を下記の通り変更いたします。
【1】 競技規則7:11と競技規則解釈4
パッシブプレーの予告合図が出された後、たとえ何回フリースロー(またはスローイン)が攻撃側に与えられようとも、予告合図が有効である限り、レフェリーは(腕を上げる)ジェスチャーをし続ける。そして、予告合図が失効した時に、レフェリーは腕を下ろす。
【2】 競技規則4:4と競技規則第7条
何の影響も悪用意図も全くなく、正当な目的をもってコート上のプレーヤーがサイドラインやアウターゴールラインを踏み越えている場合には、不成交代とはみなさない。
【3】 競技規則16:8と16:11
失格・追放となったプレーヤーが、競技の再開後に違反をした場合には、競技終了後に文書で報告する。つまり、このような状況において、当該チームのコート上のプレーヤーを減らすという罰則は適用されないということである。
【4】 競技規則4:9
補充用(予備用)として粘着物(松ヤニ等)を腕や手に付けて(貯めて)おいてプレーすること(相手を重大な危険にさらす行為)を禁止する。補充用の粘着物をシューズに付けておいてプレーすることはよい(但し、大会規定や会場規定に従うこと)。
なお、上記4項目の説明として、国際ハンドボール連盟の競技規則・審判委員会から送付されてきた文書を下記に添付しますので、変更の趣旨を正しく理解するために必ずご熟読ください。
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国際ハンドボール連盟競技規則審判委員会による競技規則解釈
以下の文書は、最近になって生じた問題や質問に対する解釈・説明である。そのうちのひとつはパッシブプレーに関するもので、2003年7月発行の解説書(国内では8月に通達)で述べた競技規則の記述変更に伴って、さらに変更しなければならないものである。
競技規則7:11と競技規則解釈4
競技規則の記述を変更し、「攻撃側チームがシュートを打ち、ゴールやゴールキーパーから跳ね返ってきたボールを再び所持した場合、パッシブプレーの予告合図は失効する(つまり、それによってボールの所持を失うという「恐れ」がなくなる)」ということを去る7月(国内では8月)に通達した。同様に、防御側プレーヤー(または防御側チームのチーム役員)が段階罰を適用された場合も、予告合図は失効する。
実際のところ、予告合図が失効した印として、レフェリーは直ちに腕を下ろすことになる。一方、競技規則書の競技規則解釈4における最終セクションの記述を見ると、たとえ予告合図がなお有効であっても、攻撃側チームにフリースローが与えられ(そして実施され)た後の場合にも、レフェリーは腕を下ろすよう規定されている。(この規定は全く実際上の理由に基づいて記述されたものである。)しかしながら、このようなレフェリーの動作が、予告合図の失効によってレフェリーは腕を下ろすという今回新設した状況と混同されかねないことが、今や明らかになってきた。したがって、より明確にするために新たな規定として、たとえ何回フリースロー(またはスローイン)が攻撃側に与えられようとも、予告合図が有効である限り、レフェリーは(腕を挙げる)ジェスチャーをし続けることとする。このようにして、状況が常に両チームによく判るようにする。
この新しい規定は、すでに男子ジュニア世界選手権大会でうまく運用されていたし、クロアチアでの女子世界選手権大会やそれ以降の全IHF主催大会でも用いていく予定である。この競技規則変更は、両チームにとってただ有益にはなりえても、混乱を来たしはしないだろうと思われるが、IHFとしては各国協会・各大陸連盟に対して、それぞれ適切な実施時期の決定を任せることにする。可及的速やかに公布してもらいたいが、いくつかの国々ではシーズン中に今回の情報を公示するのが難しいかもしれない。
競技規則4:4と競技規則第7条
「プレーヤーの交代」という見出しの下に、競技規則4:4で「プレーヤーは常に自チームの交代ラインを通ってコートに出入りする」とはっきり述べている。明らかにこの競技規則の目的は、一定の規律を維持することと、チームが急いでプレーヤーを交代させるときに不当に有利にならないようにすることにある。
有利になるため(例えば助走のためなど)にプレーヤーがサイドラインの外側の場所を不正に利用するという行為については、違反であることをすでに確認している。
しかし、上述の2つの状況とは別に、何の影響もなく、悪用する意図も全くなくて、プレーヤーがサイドラインやアウターゴールラインを踏み越えていく状況は、他に沢山ある。レフェリーは常識的に判断し、このような状況がプレーヤーに対して禁止されている行為であると解釈しないよう、強調しておく。
例としては次のようなものがある。明らかにドリンクボトルやタオルを取ろうとして、自チームのベンチ前でプレーヤーが(交代ラインのすぐ外側の)サイドラインを一時的に踏み越えるような場合、これを不正交代と見なしてはならない。同様に、ゴールキーパーが自陣のゴール横のアウターゴールラインを踏み越えて、上記と同じ行為をしようとした場合も、決してこれを罰してはならない。
退場となったプレーヤーは、気が回らなくて時折コートから交代地域へ正しく出ないことがある。見届けたいことは、プレーヤーが(余計な時間を取らせずに、文句を言わずに)コートを出てベンチに戻ることなのである。プレーヤーがたまたま交代ラインのすぐ外側を通って出ていっても、何も有利になっていないことは明らかである。
最後に、プレーヤーの怪我の状態により、ベンチから遠く離れたコートサイド(または控室)で処置する必要のあることが一目瞭然であった場合は、決して怪我をしたプレーヤーにコートから出て交代地域に戻るよう強要してはならない。そして、レフェリーはこのような状況を注意深く観察し、怪我をしたチームメートが完全にコートから出てしまう前であっても、交代プレーヤーがコートに入ることを特別に許可しなければならない。これは、競技の中断を極力短くするという、競技全体の目的にかなったものである。
競技規則16:8と16:11
この2つの条項により、失格または追放となったプレーヤーは「コートからも交代地域からも直ちに去らなければならない・・・・・そして、チームに関与することは一切許されない」ことは明らかである。
原則として、レフェリーは失格・追放となったプレーヤーのその後の行動を管理するよう規定されており、明らかな違反があれば競技終了後に文書報告しなければならない。しかし、このようなプレーヤーに対してさらに何らかの罰則を競技中に付加することは不可能であり、もちろんそのチームのコート上のプレーヤーを減らすという判定には決してなりえない。失格や追放となったプレーヤーが競技中にコート内に入ってくるというような極端な場合であっても同様に処置する。
競技規則4:9
かなり以前からプレーヤーは、短く切ったテープをシューズに貼り、そこに粘着物(松やに)をいつでもすぐに使えるように貯めておいてプレーしてきた。この行為は、相手にとって危険であるとは思えないので許されてきた。しかしながら、最近になって、腕に付けた汗止め用バンドに粘着物を貯めておく行為が見られるようになった。粘着物が相手の眼に入るかもしれないので、この行為は相手を重大な危険にさらす可能性がある。したがって、競技規則4:9に則ってこのような行為を禁止し、そしてレフェリーはこれを管理しなければならない。
別の問題であるが、競技規則4:9における一般的な指示として、他のプレーヤーを危険にさらす可能性のあるものを禁止している。本質的な問題として、これは競技規則に相応しい内容である。これこそ、指輪やチェーン、イヤリングなどが例として禁止されている(したがって、外すか、あるいはテープで被わなければならない)理由なのである。これに対して、ふつう自分自身だけが危険にさらされる可能性のあるものを着用するかどうかの判断は、個々のプレーヤーに委ねることになる。最近のボディーピアスの例がそうである。このようなピアスは、(舌ピアスなどの場合を除いて)ふつうユニホームの下に隠れる。しかし、このようなピアスを付けてハンドボール競技を行うことに伴う危険性について考慮するよう、国際ハンドボール連盟医学委員会はプレーヤー(およびそのコーチやマネージャー)に勧告している。