<機関誌2010年11月号巻頭言>


「継続的な五輪出場を目指した強化」



                (財)日本ハンドボール協会強化本部長    西窪 勝広 


kantogen-0912
 現在、日本ハンドポール界にとって厳しい状況が続いている。男子はソウルオリンピッ
ク、女子はモントリオールオリンピックを最後にオリンピック出場の機会を得ていない。
是が非でもロンドンオリンピックの出場権を獲得し日本のハンドボールに世界の風を送り
込みたい。

 オリンピックに出場する為にはアジアを勝ち抜くことが一番の条件であるが、アジアを
突破するには世界で上位に食い込む実力が必要なことは言うまでもない。其の為にこの10
年間にわたり長期的な視野に立ち強化策を行ってきた。特にタレント発掘と一貫指導にお
いて様々な試みを講じた。ロンドンオリンピック出場を目指す今、この10年間での試みを
基礎とし強化、医事、情報科学の各セクションが有機的に連携した施策を推進することに
より、オリンピック出場という結果に結び付けたい。

 オリンピック出場は非常に価値があることは十分に認識しているし、真の意味での競技
力向上の価値があるものと確信している。日本が継続的にオリンピックに出場する為には、
日本代表チームに継続的に高い競技力を有する選手を供給しなければならない。其の為に
は各カテゴリーの充実が必須である。

 2000年に設立したナショナルトレーニングシステム(NTS) は中学、高校の有望選手を対
象にタレント発掘と指導指針の一貫化を目的とした事業であり、これまで述べ 8,580名の
選手がNTSを経験し、そこで発掘された有望選手が現在の国内リーグの主力となっている。
また、2008年に発足したJHAジュニアアカデミーでは、NTSで発掘したタレントの更なる強
化と指導者育成を目的に、極めて競技力の高い高校生、大学生を対象に継続的なトレーニ
ングを行い、日本代表チームに選手を供給できる実績も出てきている。

 ロンドンオリンピック出場が現段階では最大の目的ではあるが、継続的に能力の高い選
手を発掘し、育成し、トップ代表に選手を供給するシステムを構築していく事が重点強化
策である。

 また、一貫指導システムで育成した選手を日本代表チームでピーキングさせる仕組みに
も注力していく事が大切である。

 「アジアNo.1に返り咲く」を目標におき、「全てのベクトルを強化に向ける」という基
本方針のもと活動する上で、指導者、人材の充実も不可欠である。NTSによる選手発掘、
JHAジュニアアカデミーでの競技者育成プログラムに基づいた一貫指導で継続的強化を進
めると共に、強化、医事、情報科学が連携を基礎とした強化政策を実施していき、2012年
のロンドンオリンピック出場とその後のオリンピックに継続的に出場できる競技力向上を
目指し強化に努めてまいります。

 皆様方のご協力なくしては実現できません。何卒宜しくお願い申し上げます。



  (財)日本ハンドボール協会機関誌「ハンドボール」2010年11月号より転載