<機関誌2011年10月号巻頭言>


「日本のハンドボールをロンドンに」



             (財)日本ハンドボール協会強化本部長     西窪 勝広 


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 3月11日の東日本大震災から半年が過ぎ、被災された方々の復興に向けた懸命な姿にロ
ンドン予選を控えた日本代表男女メンバーも勇気を貰い、−日も早い復興をお祈りいたし
ております。

 「アジアNo.1に返り咲く」を強化重点項目として取り組んできました。

 代表スタッフ、選手達のこれまでの努力、そして愛好者の皆様全ての「オリンピックへ」
の思いの真価を問われる大一番が目前に迫ってきました。

 日本代表だけで「アジアNo.1」になることは不可能に近い。日本代表に繋がる底辺強化の
課題として各カテゴリーも日の丸をつけ闘う以上は勝ちに拘り、常にアジアの中で優位な立
場で闘える強化が「アジアNo.1」に繋がり、継続したオリンピック出場になると、各カテゴ
リーの共有課題として実践してまいりました。

 また、「アジアNo.1」になるために情報戦略スタッフが対戦国の情報収集に努め、医科学
と密な連携をとりながら代表チームの大会参加、遠征にもドクター、トレーナーを同行させ
選手個々の外傷、障害カルテを作成し所属チームとも連携を図り、栄養面に関してもJISS栄
養士による栄養指導を行い、正しい食生活の習慣化や栄養に対する知識教育も実施し、全て
をロンドン予選にむけてきました。

 特に強化拠点として味の素トレーニングセンターで心置きなく練習できる環境が、選手の
モチベーションを高めている事も間違いありません。

 文部科学省が設定したスポーツ振興基本計画の中にあります「一貫指導システムの構築」
「競技者育成プログラム」に従い、若手選手層からタレントを発掘し将来世界で活躍できる
選手育成、統一した指導方法とレベル向上に他の競技団体よりいち早く取り組んできた項目
の一つが"NTS"であり、10年の歳月が過ぎました。

 この10年間、全国のハンドボール関係者のご努力で"NTS"各ブロックで発掘された選手が
社会人チーム、大学で中心選手として活躍しており、ロンドン予選を闘う男女日本代表選手
も全て"NTS"で発掘された選手達です。

 其の選手達がロンドンアジア予選で最善を尽くす事は言うまでもありませんが、ここまで
数多くの方々がオリンピック出場を目標にご努力された英知と、「アジアのNo.l」に成る
為に多方面からサポート頂いた内容を集約し闘ってまいります。

 愛好者の皆様も、1983年ロサンゼルスオリンピック予選で男子日本代表が代表権を勝ち取
ったときのように一丸ムードを醸し出してスタッフ、選手達を後押ししていただきお力を頂
けるようにお願いいたす次第です。

 男子は韓国、女子は中国といずれもアウェイの厳しい闘いとなりますが、皆様の心意気と
共にアジアのライバル達に立ち向かって、なんとしてでも悲願のオリンピック出場権を男女
勝ち取り、皆様と喜びと感動を分かち合えるように、私も残された時間に最善を尽くしてま
いる覚悟です。どうか、皆様のお力を日本代表男女にお貸しください。



  (財)日本ハンドボール協会機関誌「ハンドボール」2011年10月号より転載