< 22nd Women's Handball World Championship >

<<第22回女子世界選手権 >>

< 戦 評 >

予選ラウンド  12/5  12/6  12/8  12/9  12/11

プレジデントカップ  12/13  12/14


12月14日(火)

 19-20位戦   
   日本 44 (21- 7, 23- 8) 15 プエルトリコ
A組5位              D組5位
 
  戦評: 

 日本の今大会最後の相手は、カザフスタンにも勝利し、進境著しいプエルトリコとの対戦。世界最終予選に繋げる
べく、なんとしても最後は勝利で飾りたい一戦である。
 ゲーム序盤、松村のサイドシュートで先制するも、相手のカットインで追いつかれ
1-1。さらに原の豪快なミドル
シュートで
2-1とするも、直後にロングシュートで追いつかれ、嫌なムードが流れる。しかし、そこからの日本は、
昨日の敗戦による心配を吹き飛ばすかのように、積極的なゲームを展開した。守備では相手の連続ミスを誘発し、
攻撃では石立のゲームメイクで粘り強く相手を左右に揺さぶる。確実にノーマークを作って得点した日本は、前半
11分には8-2と、6連続得点により一気にプエルトリコを突き放した。その後、退場者を出すも、5人時にゴール
キーパーと代えて、田中を攻撃で起用する
6人攻撃は、相手の守備を見事に切り崩した。途中出場した田邊のサイド
シュートなどで、流れは完全に日本のまま、
21-7と大量リードで前半を折り返した。
 後半に入っても日本は攻守共に手を休めない。途中からコートに立った池原は、後半開始早々サイドシュートで
得点すると、速攻などで立て続けに得点。守備の要として出場した石野も、持ち味である運動量の高い積極的な守備で
相手のミスを誘うなど、交代で入った選手も監督の起用に応えるかのように躍動した。試合の終盤には、田中、川村
による冷静なゲームコントロールで、
44点の大量得点。攻撃成功率は70%と、高確率で相手のゴールネットを揺らした。
また、日本の機動性の高い守備で相手のミスは
34本を記録し、44-15の圧倒的点差で勝利を飾った。さらに、この
ゲームの
MVPには松村杏里選手が選出された。



  
    個人得点 松村:9点、池原:7点、田邉:5点、川村:4点、横嶋・角南・石立:3点、
        本多・石野・藤井・原:2点、田中・永田:1点

12月13日(月)

 17-20位戦   
   日本 24 (11-16, 13-13) 29 中国
A組5位              B組5位
 
  戦評: 

 グループリーグを終えてAグループ5位となり、決勝トーナメントに進出出来なかった日本は、順位決定戦の
戦いへと切り替わった。最初の相手は
Bグループ5位の中国。アジア同士の対決となった。

 試合出だし、厳しい予選の疲れか、日本のシュートミスから速攻を仕掛けられ、先制点を許す。その後、何とか
守備で相手の攻撃を抑制し、攻撃でチャンスを作り出すものの、シュートミスでなかなか得点を奪うことが出来ない。
中国は、これまで日本とアジアで再三対戦してきているだけあり、司令塔石立への厚いマーク、そして石立から
ポスト横嶋かおるへと送られるパスを徹底的に抑えにきた。点を取られては取り返し、
2点、3点の差を縮めることが
出来ないまま、前半
25分が経過した。さらにその後も、相手の司令塔によるカットイン、身長190センチの形態を
活かしたポストプレーなどに苦しみ、この日最大
5点のリードを奪われ、11-16で前半を折り返した。
 後半、流れを変えたい日本は、序盤から積極的にラインの高い守備を仕掛け、相手の攻撃を錯乱させようする試みが、
後半
33分へ差し掛かり12-197点のリードを奪われた。次第に焦りが見え始めたところで、反撃のきっかけを作った
のは、これまでの試合で何度もゲームの流れを変えてきたエース藤井。鋭いカットインシュート
2本をたたき込むと、
松村の速攻が決まり
3連取。流れが日本に傾いたところで中国がタイムアウトを請求した。タイムアウト後も勢いが
止まらない日本は、原のカットイン、藤井の豪快なロングシュートで再び
2連取。後半34分で17-19と、一気に2点差
まで詰め寄った。後半
50分まで両チーム譲らずに得点を取り合い、2点差に縮めては3点差にされ、リードがなかなか
縮まらないまま終盤
10分を迎えた。ここで勝負をかけたい日本だが、守備から得点に結びつけることが出来ず、
20-25で惜敗した。最近の対戦では勝ち越していた相手への敗戦は悔やまれたが、日本に何度も追い風をもたらした
エースの藤井は、この試合の
MVPに輝いた。



  
   個人得点 藤井:14点、松村:4点、原:3点、本多・田邉・石立:1点

 

12月11日(金)

 Aグループ  
   日本 22 (11-17, 10-14) 31 ハンガリー
1勝4敗              4勝1敗
 
  戦評: 

 第五戦、グループリーグ最終戦の相手は、去年ヨーロッパ選手権で銅メダルを獲得したハンガリー。今大会では
強豪セルビア・デンマークに快勝し、金メダル候補と評される。

 開始1分、攻守において日本の主軸である横嶋かおるのカットインシュートで日本が先制。直後に相手の力強い
カットインシュートで追いつかれるも、再び横嶋かおるがポストシュートをたたき込み
2-1とリード。日本が
ゲームの入りの主導権を握った。しかし、ここから日本の得点がぴたりと止まり、連続ミスから
5連続失点を
奪われる。
2-6とされたところで流れを止めるべくタイムアウトを要求。タイムアウト後、キャプテン本多の
速攻で
1点返すも、ハンガリーの勢いは止まらない。ハンガリーは、今夏、トレーニングゲームを重ねただけ
あり、日本の戦い方を知り尽くしているかのように、主軸となる横嶋かおるへのポストパスを排除し、日本の
攻撃に幅をもたせていた原、角南のカットインを警戒し、抑制しているのが伺えた。対するハンガリーの攻撃は、
日本の
4-2ディフェンスやオープンディフェンスを巧みに崩し、連続得点。15分で3-12と、大幅にリードを奪
われる。圧倒的にハンガリーに流れが傾いたところで、角南に代わり藤井紫緒が投入された。すると、これが功
を奏し、速攻で豪快なミドルシュートをたたき込み、悪い流れを断ち切る。勢いを取り戻した日本は、終盤
3連取
によりなんとか食らいつき、
11-17で前半を折り返す。
 後半に入ると、やはりハンガリーは藤井に対し、マークを厚くした。これに対し日本は、司令塔石立の冷静な
ゲームメイクにより揺さぶりをかけながら、ミドルシュートを得意とする川村を交えて攻撃の大きな展開を試みた。
しかし、堅い守備を打ち崩すのは容易ではない。対するハンガリーは、形態的優位性を活かしたパワープレーだけ
でなく、ポストを絡めた組織的な攻撃などで確実に得点を重ねた。冷静に、かつ確実にゲームを優位に運ぶハン
ガリーに対し、日本は
6-0形態の防御や、退場により一人少ない状況で6人攻撃を仕掛けるなど、能動的に様々な
戦術的変化を用いて仕掛けていく。しかし、点差が埋まることはなく、
50分過ぎには18-2810点のリードを許した。
それでも決して諦めないのが日本の誇るべきファイティングスピリット。身体を張って相手の攻撃にヒットし、
ルーズボールは決して譲らない。試合の終盤、ゲームをひっくり返すのが困難な状況でも果敢にチャレンジし続ける
日本チームを見て、地元の観客が日本の応援と化した。攻撃時には手拍子を送り、得点すれば大きな声援を送る光景は、
ホームチームのようであった。最後まで前を向いてプレーをした日本は、終盤
3連取するも、その差が埋まることはなく、
21-31
で敗戦し、グループリーグ突破は叶わなかった。

敗者となったものの、観客が日本の戦う姿勢に共感し、声援を受けることの出来た貴重なゲームとなった。

 

  
  個人得点:藤井:6点、横嶋:4点、本多・石立・原・松村:2点、角南・田邉・川村:1点


 

12月9日(水)

 Aグループ  
   日本 22 (12-13, 10-14) 27 セルビア
1勝3敗              3勝1敗
 
  戦評:  第四戦の相手は、前回の世界選手権で銀メダルを獲得したセルビア。またしても世界のトップ
ゾーンに君臨する強豪チームとの対戦だが、グループリーグ突破の可能性を自力でつかみ取るべく、
連勝を掲げて望んだ。ゲーム序盤、先に主導権を握ったのは日本であった。先制点を許したものの、
石立のカットイン、松村のサイドシュート、石野の速攻で立て続けに得点を奪い、
3-1とリード。しかし、
相手のエース
RADOJEVICを起点とする攻撃で4連取を奪われ3-5とされる。これに対し、日本は相手の
エースを徹底的にマーク。
10分で6-6の同点に追いつくと、そこから一進一退の攻防を繰り広げ、前半を
12-13
1点ビハインドで折り返す。
 後半に入っても日本の足が止まることはなく、圧倒的形態差のある相手に対し、横嶋
()・原を中心に、
何度もミスを誘発し、攻守に渡って粘りのある戦いを繰り広げた。ゲームが傾き始めたのは後半
40分過ぎ、
日本のシュートミスと一瞬の守備のほころびを見逃さず、確実に得点を重ねたセルビアが
4連取したのを
きっかけに、残り
5分まで4点差が詰まらず20-24。流れを引き寄せるべく、変則3-2-1システムの防御形態
などを仕掛けるが、相手の勢いは止まらず、
22-27で敗戦となった。  惜敗は悔やまれたが、この試合の
MVPには、またしても日本チームから、石立真悠子が選出された。この試合においては、後半中盤まで互角
の戦いをしていただけに、勝利を収めることが出来なかったのは残念だが、グループリーグ突破の希望は
完全に途絶えたわけではない。さらに、世界のトップレベルに対して通用するという確信を得た戦いでも
あったことは間違いない。是非、次節に活かしたい。


  
  個人得点:角南・石立:5点、横嶋・原:3点、本多・松村:2点、石野・藤井:1点

  

12月8日(火)

 Aグループ  
   日本 31 (13- 9, 18-12) 21 チュニジア
1勝2敗              3敗
 
  戦評: 第三戦の相手は、アフリカ屈指の強豪国のチュニジアとの対戦。世界のトップゾーンに食い込む
アンゴラを倒している勢いもあり、今大会でも高い評価を得ている。圧倒的エースのムナ・チェバを中心
とした攻撃力にいかに対峙するかが鍵となる一戦となった。

 出だし、積極的な防御から松村の速攻などで、7-3とリードスする。チュニジアはタイムアウト後に攻撃
リズムをつかみ始め、
10-9まで追撃される。落ち着きを取り戻した日本は、前半終了間際、修正した防御
からの速攻で再び点差を広げ、
13-9で前半を終了する。
 後半に入り、積極的防御に変化をつけながら、相手の攻撃の芽を摘みつつ、石立の巧みな攻撃のリードから、
原のカットインを中心にリードを広げる。終盤、藤井のミドルで突き放し、
31-21で終了。今大会の初白星を
飾った。これまでのチュニジアでの対戦で、大きく突き放しての勝利は無かったため、チームの自信に繋がる
ことに期待したい。
 なお、この試合を終えて、原希美選手がゲームMVPに輝いた。

  
 
  個人得点:原:9点、松村:6点、横嶋・藤井・角南・石立:3点、本多:2点、田邉・川村:1点

   

12月6日(日)

 Aグループ  
   日本 23 (15-17, 8-12) 29 モンテネグロ
2敗                1勝1分
 
  戦評:  第二戦の相手は、ロンドンオリンピックで銀メダルを獲得したヨーロッパ屈指の強豪国モンテネグロ。
現在も、ヨーロッパクラブ選手権のチャンピオンとなった
ŽRK Budućnostに所属する選手を8名も有する強豪
チームである。

 開始直後、7mTを与えてしまい、日本はまたしても先制点を許してしまう。しかし、このゲームにおいて
日本は、昨日の初戦に増して攻守共に精度が上がり、勢いがあった。失点後すぐさま松村のサイドシュートで

1-1
に追いつくと、防御では相手の不利なシュートを誘い、攻撃では大きく揺さぶりながら原、角南らのカット
インが機能した。前半
10分で6-42点をリードし、更に前半15分には、横嶋()のスティールなどで9-6
リードを広げた。ところが、世界の強豪チームはここから強さを発揮する。日本に比べ、圧倒的な形態を活かした
堅い守備からモンテネグロに猛攻を仕掛けられ、
3連取を許し9-9の同点。その後は点の取り合いによりハイ
スコアな展開となった。前半終了間際、
3連取を許し、17-152点ビハインドで前半を折り返した。
 後半、40分まで1点差で食らいつくが、4連取により4点のリードを奪われる。そのまま試合がモンテネグロの
ペースになりかけた中、流れを断ち切ったのが若手の角南唯。鋭いカットインとロングシュートで
2連取すると、
その後も司令塔石立のカットインなどで得点を奪い、後半残り
5分で22-25と、どちらに傾くか分からない試合
展開へ。しかし、追いつこうと更に激しく仕掛けた
DFをモンテネグロに巧みに打ち崩され、23-29で敗戦した。

 昨日に引き続き敗戦となったが、コートに立つ選手だけでなく、観衆でさえ、確実に日本チームの戦術が世界に
通用すると感じることの出来る一戦となった。なお、このゲームの
MVPに角南唯選手が選出された。

グループリーグを突破すべく、次節からの戦いに繋げてほしい。

  
  個人得点:角南:9点、松村:6点、石立・原:3点、藤井:2点
  
 

12月5日(土)

 Aグループ    
   日本 21 (11-17, 10-13) 30 デンマーク
1敗                1勝
 
 
  戦評:   日本の初戦の相手は、今回金メダル候補の呼び声が高く、前回大会銅メダルで開催国のデンマーク。
日本のグループリーグ初戦は、前回の世界選手権に引き続き、再び開催国とのオープニングゲームとなった。

 大型かつ巧みな選手が揃うデンマークに対し、日本は機動力を活かしたオープンディフェンスを武器に迎え撃つ。
開始
130秒、相手のロングシュートで先制点を許すも、直後の攻撃に原のカットインで同点。その後も、相手の
多彩な攻撃を機動力の高い防御で抑制しながら、横嶋
()のポストシュート、角南のカットインなどで食らいつく
一進一退の攻防が続き、前半
12分で7-7の同点とした。しかし、日本のわずかなシュートミスやターンオーバーを
きっかけに、
2連取、3連取を許し、じわりじわりとリードを広げられ、前半を11-17で折り返した。
 後半、キャプテン本多や松村のサイドシュートなどで食らいつき、息を吹き返すも、更にリードを奪われ
30-21
で終了。破れはしたものの、日本の機動力を活かした防御が機能し、ミスを誘うシーンも多々見受けられた。また、
変則
3-2-17人攻撃など様々な戦術を仕掛け、日本の可能性を見出すことの出来た、収穫のある初戦となった。


  
 
  個人得点: 本多:5点、藤井:4点、横嶋・角南・松村:3点、 原:2点、石立:1点

  
 



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